お腹の脂肪は、腹筋運動では落ちません

こんにちは。Y’sジムいすみの樋口です。

「とにかくお腹だけ引っ込めたいんです」

ジムでいちばんよく聞くお願いが、これです。そして、そう言う方のほとんどが、すでに腹筋の運動をやっています。しかも毎日、けっこうな回数を。

それでもお腹が変わらないので、回数を増やす。ますます変わらないので、今度は別のやり方を探す。この繰り返しで疲れてしまった方を、僕は何人も見てきました。

先に結論から言います。お腹の脂肪は、腹筋の運動では落ちません。これは頑張りが足りないからではなくて、体がそういう仕組みになっていないからです。今日はその話をします。

脂肪は、落とす場所を選べない

気になるところを動かせば、そこの脂肪が使われる。すごく自然な発想だと思います。僕も昔はそう思っていました。

でも実際は、体は脂肪を「全身の共有タンク」みたいに扱っています。運動でエネルギーが足りなくなると、体はタンク全体から少しずつ引き出す。お腹を動かしたから、お腹の分から使う、という指定はできないんです。

湯船で考えると分かりやすいかもしれません。栓を抜いたら、足元のあたりだけ先に浅くなる、なんてことは起きませんよね。水位は全体で下がっていきます。

脂肪もこれと同じです。減るときは全身から、じわっと同時に減っていきます。そして水位が下がって最初に形が見えてくるのは、もともと浅かったところ。ここが人によって違います。顔から落ちる人、手首や鎖骨から先に変わる人、いろいろです。

お腹は、多くの人にとって「いちばん深いところ」です。だから最後のほうまで残る。順番が悪いだけで、間違ったことをしているわけではありません。

じゃあ、お腹はいつ変わるのか

タンク全体の量が減れば、当然お腹も減ります。つまりやることは、お腹への集中攻撃ではなく、全体を減らすことです。地味ですが、これしかありません。

ここで大事になるのが、食事と、体全体を使う運動です。腹筋を100回やって消費するカロリーは、実はおにぎり半分にも届きません。一方で、下半身のように大きい筋肉を使う運動は、同じ時間でもエネルギーの動き方がまるで違います。

「脚を太くしたくないから下半身はやりません」という方もいますが、これも心配いりません。その話は「筋トレしたら脚が太くなる」は、まず起きませんに書いたので、気になる方は読んでみてください。

それと、体重が落ちていないのにお腹まわりだけスッキリしてくる時期が、たいていどこかで来ます。中身が入れ替わっている証拠です。「食べても太らない体質」は、たぶん体質じゃないでも書きましたが、うまくいっている人ほど、この地味な変化をちゃんと拾っています。

今日からできる3つのこと

お腹を気にしている方に、僕がいつも最初にお願いしているのはこの3つです。

玄関でスニーカーを履いて、散歩に出かけようとしている女性の足元

  1. 腹筋の回数を増やすのを、いったんやめる。減らした時間を、歩く・しゃがむ・階段を使う、といった全身を使う動きに回してください。同じ10分なら、そっちのほうが確実に効きます
  2. 1日の食事の量を、ざっくりでいいので把握する。正確でなくて構いません。多い日と少ない日の差が分かるだけで、調整できるようになります。うちで作ったカロリー計算アプリも、余計な機能がないので使いやすいはずです
  3. お腹の判定を、鏡ではなくベルトの穴でする。毎日鏡を見ても、正直よく分かりません。ベルトの穴ひとつ、ズボンのボタンの余裕。この方が、はるかに正確です

どれも、今日から手を付けられることばかりです。

「じゃあ腹筋運動は無駄なの?」

いいえ、無駄ではありません。目的が違うだけです。

お腹の運動は、脂肪を落とす道具ではなく、姿勢を支える道具だと思ってください。ここが働くようになると、立ち姿がまっすぐになります。腰を痛めにくくもなります。ついでに言うと、姿勢が変わるだけで、お腹の見え方は今日から変わります。脂肪の量は1グラムも変わっていないのにです。

だから僕は、腹筋の運動をやめてくださいとは言いません。それでお腹の脂肪が落ちる、という期待だけを外してくださいとお願いしています。期待の置き場所を間違えると、続いていることまで「効いていない」と感じて、やめてしまうからです。

もうひとつよくあるのが、「お腹が最後まで残るなら、自分は向いていないのでは」という不安。これも違います。順番の問題なので、続けていれば必ず順番は回ってきます。ただ、そこまで一人で待つのがしんどいだけなんです。

まとめ

お腹の脂肪は、お腹の運動では落ちません。全体の水位が下がったときに、最後のほうでようやく変わります。

だから、やることはシンプルです。お腹への集中攻撃をやめて、全身と食事に目を向ける。それだけで、遠回りに見えて実はいちばん早い道になります。

今日の一歩目としては、ベルトの穴の位置を、今の状態でひとつ覚えておくことをおすすめします。これが1ヶ月後のあなたの答え合わせになります。体重計の数字より、よっぽど正直です。

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参考:厚生労働省「身体活動・運動の推進」